協会の概要 事業計画 定款
山田八景
山田町紹介
  • シャンティ国際ボランティア会
  • 禅と精進料理
  • 海外旅行「英文旅行用診断書」(Medical Record)
  • Eating out in Tokyo
  • 多言語医療問診票(Medical Questionnaire)
  • 災害時多言情報作成ツール
会員募集

第14次 山田町ジュニア海外使節団 報告

「オランダ ~心を開いて~」

菊 地  裕(山田中学校教諭)

今回の研修にあたり、私たちはより良い研修となるために事前学習から取り組んできた。中学生8名(豊間根中2名、山田中6名)と高校生2名(山田高2名)による今年の団員は全員が意欲に満ちた生徒達だった。第一回目の学習会では団長の畠山校長先生より「個性的な人達がそろいました。これからが非常に楽しみです。積極的に研修をして行きましょう。」とのお話をいただき、この時から団員にとって「心を開いて」ということが大きなテーマになったように思う。

集まった団員の中には「今回の研修で自分自身を高めたい。」「今までの自分を変え、より積極的な人間になりたい」と願いを込めて参加した人ばかりだったのでその後の学習会も「自分から積極的に!」という姿が随所に見られ、いい形で出発の日を迎えることができた。

1月5日、アムステルダムに着いた団員の表情は長旅にも関わらず晴れ晴れとしていた。それは、スキポール空港までわざわざお出迎えしてくれたスティンスマ会長、イングリッド先生、フィッシャー先生、そしてこの研修全般を通じてお世話して下さった山口さんが明るく優しい笑顔で待っていてくれたからだろう。初めて踏み入れたオランダという地を実感し「ついに来たんだ」という気持ちで充実していたのだと思う。

しかし、事前に学習と心の準備をしてきた生徒達であっても初めてホームステイ先のファミリーに会う時にはかなりの緊張感があったようだ。6日の夕方、CLZ校においてホストファミリーとの初顔合わせとなったが、表情がこわばっている人もいた。差し出された握手の手には応えられても話しかけられた言葉に反応することができずたじろぐ姿も見受けられた。正直言ってこのときは「これから一週間大丈夫だろうか」という不安がよぎった。

そういう私自身も3日間ホームステイでワインさんご夫婦宅にお世話になり、これはもちろん初めての体験であった。そこではじめて感じること、それがやはり一番最初のテーマ「心を開く」ことの大切さであった。交流とはあらためて心の持ち方でいかようにでも深まると感じた。

あとから生徒達に聞いてみると、全員が「ホストファミリーの方が優しくしてくれたので安心した。」「家族のみなさんの笑顔でうれしくなった。」と感じたそうだ。不安がっているだろう日本の中・高生に対してどのご家庭でも温かいお心遣いで接して下さっているのだなあと、オランダの皆さんの大きな優しさを感じたのである。それからは時間とともに慣れて、少しずつ自分を出せるようになっていったようだ。

毎朝、団員の生徒達の表情をうかがいながら「夕べはどうだったかな?」「何か困っていることやうまくいかないことは?」と聞いてみるが日一日とそのホストファミリーになじんでいっていることがよくわかり、私が顔合わせの時に感じた不安はすっかりなくなっていった。日本のお土産をひろげながら手渡し、予想以上に喜んでいただいて感激する場面、休日にホストファミリーと一緒にショッピングに出かけた場面、一緒に日本のアニメの絵を描きながら交流した場面などなど一つ一つの出来事が彼らの宝物となっていったようだ。

CLZ校の生徒達も温かく歓迎してくれた。歓迎式では大きな拍手をもらい、団員達もほっとしたことであろう。校内を案内してもらっているとみんなが声をかけてくれる。また、どの授業に行っても笑顔で迎えてくれた。言葉の壁はあっても通じ合うことはたくさんあり、CLZ校の先生達のお計らいでそれぞれの名前を日本語で書いて交流し合う授業や折り鶴を教え合いながらつくる授業などで打ち解けあっていたようだ。またオランダはコンピュータの整備が進んでおり、学校などの施設はもちろん各家庭でも必ずコンピュータが複数台あり、生徒達はその操作にかなり慣れていた。インターネットを活用しての調べ学習が行われていたがオランダ語から日本語へ翻訳するサイトなどをうまく利用してコミュニケーションを図りながら作業を進めていた。

またCLZ校の授業の中で特徴的だったのはドラマという授業で、生徒達の表現力を高める学習が行われていた。体全体を使ってその場面を表現することに真剣に取り組んでおり、先生も情熱的に授業を進められていてとても興味深い授業だった。山田の生徒と比較してやはり他の人に伝えようとする表現力やコミュニケーション能力が優れていると感じるのもこういう学習が日常的に行われているからなのかもしれない。

また、CCZ校の見学もさせていただいたがこちらは日本でいう実業校のような専門的な学習が中学校の年齢の生徒から行われていた。工業系の学習、介護関係の学習、調理関係の学習など将来の仕事を見すえた早い段階からの専門的な学習である。この年代から自分の道を考え進んだ学習をしていることに日本との違いを感じ、驚いた。聞くところによると学習を進めていく中で自分の適性を考え直し、進む道を変更していく生徒もあるらしく、柔軟に対応した教育環境が整備されていることを感じた。

日本以外の教育現場を直に見学する機会はほとんど無いが、実際にオランダの学校を見て一番に感じたのは子ども達の明るさである。ややもすると日本の子ども達は物事に対して一歩下がって臆してしまうことも多いが、オランダの子ども達は常に明るく山田の子ども達に接してくれていた。また、もう一つ感心したことは授業や集会などでの人の言葉を聞くときの態度のよさである。姿勢はいろいろあってもきちんと聞いている。そして授業のブザーとともにさっと移動する。また、自学自習している姿も図書室などをはじめ多く見られた。日本の学生は学校生活の中でどちらかというと受け身の感覚で生活していることが多いのかも知れない。指示を聞いて行動はできるが逆に指示を待たなければ自己決定ができない面も併せ持っている。それに対してオランダの子ども達からは「自分が勉強している」という自主性を感じ、学校生活の中にたくましさを感じた。反面、日本の教育の素晴らしさをあらためて感じることができた。責任を持って物事をやりとげようとする勤勉さ、秩序、マナーの良さなどは日本人の誇りとしていいところなのだと再認識した。お互いの良さを認識し合うことは交流の一番の良さであり成果であった。

各家庭でのホームステイにもすっかり慣れた10日、学校が休業日ということで終日ホストファミリーと過ごす一日となった。この日の夜、CLZ校においてフェアウェルパーティーが催された。ここで日本で練習してきた「わだつみ節」、「ソーラン節」の2つの踊りと「ふるさと」の合唱を全員で披露した。また高校生の戸田さんは高校で活動している空手の形の演武を披露してくれた。それぞれの出し物に自然とこれまでの皆さんへの感謝の気持ちがこもり、それが伝わったのか大きな拍手をいただいた。まさに「心が開いた」瞬間であった。

13日、ザイストを後にしCLZ校でお世話になった方々とのお別れの朝、にこやかな笑顔の中にも感極まって涙を流す生徒達。たどたどしい英語で「手紙を出すから」と伝える人、お互いの手を握り合いながら「ダンクユー・ダンクユーウェル」と繰り返す人。手を振られ遠ざかったバスの車内ではしばらくすすり泣く声が聞こえ、「帰りたくない」「また必ず来ます!」と声にする人もいた。今年もまた大きな絆ができあがったことを確信した。

事前学習から始まったこの研修で使節団の生徒達は大きな変化をしたと思う。ややもすると受け身だったそれまでの自分から一歩前に出て笑顔で行動しようとすることの大切さを肌で感じ、そして心を動かされ今ではなにかたくましさを感じるようになった。到着式での安心感からくる満面の笑みと堂々とした態度と表情がとても印象的である。今回の研修で得たことを各個人でしっかりとまとめてほしいと思う。そしてこのオランダ使節団としての経験を生涯の宝物とし、現在の学校生活ではもちろん、これから社会に出ても大活躍してほしいと心から願う。

私自身、今回使節団の引率を仰せつかったことで貴重な経験と数多くの勉強をさせていただいた。欲を言えばもっと英語でのコミュニケーションができるように、これまでの生活でマスターしておけば良かったと悔やまれる。もっと言葉で伝えることができたらより多くの発見や学習がそこにあったに違いない。

最後になりましたが、今回私たちにこのような機会を与えて下さった皆様に感謝申し上げ引率報告といたします。

←前ページへ戻る →次ページへ続く

footer